2010年2月26日金曜日

水耕栽培 ココ培地 V.S.ハイドロ

ココ培地の原料はヤシの木になる実のカラです。ランの栽培がさかんなタイでは半分に割ったヤシガラに植えつけてひもで吊るし、ハンギングポットにしてたりします。

ココ培地は、ほとんど繊維なので炭素率が高く養分をほとんど含まないので腐食がスローで、水分や養分がちょうどよく繊維にからまります。
ってことで水耕栽培にとっても向いてる培地です。

ココ培地で水耕栽培する場合はロックウール単体での育て方とほとんど同じですが、ロックウールと大きくちがうメリットは炭素をふくむ繊維質なので、根っこと相性がよいことや通気性がよくて根回りの酸素が豊富なことです。

ココ培地がオモシロいのは、あげてもいい養分のキャパがひろいことです。糖分や大きめなアミノ酸なんかをあげても「ばい菌」が繁殖したり腐ったりはしません。

とはいえ肥料は、ク溶性の効きのゆる〜い肥料よりも水耕栽培用の水溶性の肥料のほうが、もちろんいいです。ココ培地だと、肥料の吸収とか効きをよくする有機活力剤がとっても有効に効きます。
これは一ヶ月前から使いはじめたココ培地です。
なんとなく、ココナッツの実が目に浮かぶ茶色をしています。
イチゴやバラなんかの根っこが繊細な植物は、新しいココ培地に植えつけた後、新芽がすぐでてくるようになるまで、根っこ専用の活力剤で根元のまわりを2日にいっぺんくらい洗い流すように軽く水やりすると根っこの活着がよいと思います。

でも、トマトとかの根っこが強い植物だと、ぜんぜんヘッチャラです。
これは使いはじめてから半年ほど経っているココ培地です。
通気性をもっとよくするためにパーライトを30%くらい混ぜてます。乾きがはやくなるので水やりの回数が増えますが生長が早くなりました。

真新しいココ培地とくらべると、すこし色が焦げ茶っぽく変わってきてますが、長い繊維があります。



これは昨年からほぼ一年プチ不耕起状態のイチゴのココ培地です。
かなり色が黒っぽくなって繊維質が細かくなってます。
表面には根っこが上がって張っています。

実は、この黒い色は「 腐植酸 」なんですが、これが増えると、ものすごく根っこによいのです。
腐植酸は、ほかの酸よりもキレート力が大きいのでリン酸や鉄、カルシウムなんかの固まりやすい成分の効きを長持ちさせてくれます。





なので時間が経って黒くなったココ培地のほうがよかったりするので、夏野菜なんかの一年草なら、一度使って捨ててしまうのは、もったいないです。残った根っこをなるべく取って酵素入り活力剤でざざーっと洗い流せば、再利用できます。

これは根っこが乾燥に弱いバラ用にミックスしてみたココ培地です。

ココ培地には、パーライトの他に保水性を高めるために水苔をちぎって混ぜてみました。









前置きがながくなりましたが、養液をタンクに溜めてエアーを送ったり循環させたりするハイドロ・システムと、土のように水やりするココ培地のどっちがいいの? ってことですが、それぞれメリット・デメリットがあります。

ココ培地も通気性/保肥性がいいとはいえ、ハイドロ・システムの豊富な酸素量には、かないませんし根っこがダイレクトに培養液につかるので肥料の吸いが多く生長速度がはやく樹勢もおおきくなります。

でもそれが水耕栽培のデメリットにもつながります。
肥料と水の吸い過ぎで、硝酸や亜硝酸がたまって葉がペラペラになって病害虫の人気者になっちゃったり、収穫した野菜は、アクと水分が多くなって日持ちのしない苦いものになったりします。
また、ハイドロ・システムは培養液のコンディションがすべてになるので冒険ができません。培養液が濃すぎたり温度が高すぎるとイッパツで生育障害をおこしがちです。

ココ培地での水耕栽培の最大のデメリットは、
「 水やりだの植えかえだのがメンドクサイ 」ってことです。

それでもココ栽培にひかれてしまうのは「 有機成分や微生物資材をあげられるから水耕栽培なのに、ガッシリ太く元気においしく育つ。 」だなと思います。微量ミネラルの効きがよく、もっとも気軽に「オーガニック・ハイドロ」が実現できるってことです。ロックウール培地とちがい肥料の抜けもよいので、肥料ぬきも確実に短期間でできてしまいます。

あとは、「 寒さ・暑さ・高いEC値につよい」ってことです。それでも急に気温が上がったりスケールのデカイ無茶をすれば、プラントはダメージを受けてしまいますがハイドロ・システムよりも持ち直すことが多いです。

イチゴなら3L〜4L程度のポットでじゅうぶんイケますが、トマトやキュウリなら10L以上のポットで大きければ大きいほど収穫もたくさん楽しめると思います。

ココ培地は、一度カラカラにかわくと水がなじみにくくなってしまうので、絶対に乾かしてはNGです。pHは培養液のレンジと同じで5.5〜6.2くらいですが、pHが低すぎると培地中の硝酸窒素が亜硝酸ガスに変身して虫が集まってきてしまいます。pHが高すぎたり気温があがると、今度は窒素がアンモニアガスに変わって根っこが焼けてしまいます。

元気だったプラントのトップが急にとまってしまった時は、竹串なんかをそおーーっとココ培地の底まで差し込んでみて、抜いた竹串の先っぽのニオイを嗅いでみます。アンモニア臭い時は、いったん水や根の活力剤でココ培地を洗い流して風通しをよくしてりしたます。

世話好きでオイシさを追求してみたい人は、ココ栽培がきっとぴったりです。