2010年12月15日水曜日

〜養液栽培でつかえる有機活力剤〜その4

ということで「養液栽培でつかえる有機活力剤」のラストです。

「アミノ酸や有機酸、酵素などなどの有機成分は、根っこには大きすぎるから吸えないから意味がない。とくに培養液で育てる水耕栽培では・・・というわけでもないみたいだね。」という常識をくつがえすニュースタンダードは、じつは日々作物と真剣にむきあって、なんとか品質の良いものを、オイシいものを食べてもらいたい、と一心に願う生産者産さんたちの地道な実践から出てきたように思います。「有機成分が効いてるとしか、説明がつかねぇ」という実体験がいっぱいあるからなんですねー。
そして何よりもイチバンお伝えしたいことは、有機成分はあくまでも植物にとってメインの肥料ではなく、チッ素・リン酸・カリウム・水分・空気・炭素などメインディッシュの吸収と消化、光合成、そしてホルモン分泌などの活動をフォローするものなので「有機成分は、ほんのちょぉぉぉっとの量でも効果がある」ので、有機活力剤はお値段も高めだし、ドカドカつかえばいいってもんでもないんですねー。


ところで、外だと寒すぎて、秋からいっこうに登熟がすすまないパッションフルーツです。

最近ボロボロだった中古ストーブをやっと新しく買い替えたので、ストーブのソバに置いてCO2も吸わせて、いいかげん熟してもらおうという魂胆です。









で、土にくらべて養分吸収がとっても多い水耕やココ培地などの養液栽培では、収穫量はふえるけど、硝酸イオンもたくさん残っちゃうんだよねー、という問題がピックアップされやすいようです。
硝酸イオンじたいは、胃のなかで「ニトロソアミン」とかいう物質に変わらないかぎり発がん性などはないようですし、コーヒーとかお茶とかワインとか、ポリフェノールが豊富な食品といっしょに摂れば、すぐ中和されちゃうので、乳児とか牛に食べさせないかぎりは、そこまで神経質になるシロモノでもないようです。でも硝酸イオンがいっぱいのこった作物は、味が苦いしアクも多いし栄養価もイマイチ、ということで、あんまし良いことはありません。

そこで、レタスなどの葉ものヤサイや果樹や果菜類などの養液栽培では、収穫前に肥料をやめて水だけ灌水して硝酸イオンや老廃物をぬくことが多いようです。ワタシが去年にトライした肥料ぬきのテストは、こちらでどうぞ。

水だけ吸わせても、植物は体内や果実の硝酸イオンを減らすことはできるんですが、もっとオイシくしたり糖度をアップさせたり果肉の食感をよくしたりするには、還元作用のある有機成分や燃焼サイクルをアップさせる有機酸、そして、ウマミや甘みのもとになる種類のアミノ酸などなどをあげると効果的なんだそうです。

なので、収穫のだいたい一週間前からあげる肥料ぬき効果がある有機活力剤にも、酵素やアミノ酸や有機酸、

そして酵素の元になる微量ミネラルなどが、配合されているものが多いです。








「でも、わざわざ肥料をぬくんなら、肥料をあげなければハナシが早いんじゃない?」なんてことも思いますが、その頂点が畑にまったく肥料を入れないで太陽と雨と土と植物のチカラで育ってもらう「無肥料栽培」になるかなと思います。土に無機チッ素を入れないので、作物がありつけるチッ素の量は少なくなります。なので化学肥料の入れすぎで起こりがちな病害虫の発生とか、味がイマイチとか、栄養価が低いとか、土壌が酸化して微生物が減る・・・などなどの弊害も起きないし、なにより土壌が健康なら、そこで育つ植物だって健康になるわけです。事実、無施肥のニンジンやカブは、まぁっっったくエグ味がなくフルーツのようにスルスルと食べられました。生で食べなきゃモッタイナイ味でした。なのでワタシもいつか畑で無施肥栽培にトライしてみたく思います。

ただ、土壌そのものから治さないとイケナイので、長い間化学肥料を入れつづけた畑ならば、まずは作物を植えつける前に、余分なチッ素を土から抜いて健康な土に戻すまで、3年くらいはかかるそうです。壊すのは一瞬・・・つくりなおすのは数年ってことのようです。


最後に、お庭やベランダ、暖かい部屋のなか、どこで植物を育てていても、植物そのもののライフサイクルというものは変わらないと思います。

植物が発芽してからタネを落として枯れていく「ライフサイクル」の流れについて、バックリとでもつかんでおくと、ホビーガーデニングでイロイロと迷ったときの判断材料になるのかなと思ってます。



果菜類などのヤサイや果樹など多くの植物が「 チッ素を吸えなくなると、花を咲かせようとする 」というメカニズムはとっても単純なものだそうで、

1. 植物のタネが春に発芽したときの土壌のなかには無機チッ素が少ないから、なんとかチッ素にありつこうと、せっせと根っこを伸ばしてガンバります。

2. 春から夏にむかっていくと、土壌には無機チッ素がたっっっくさん戻ってくるので、若い苗は、いっぱい張った根っこからガシガシとチッ素を吸って、茎を伸ばして背丈をのばし、葉っぱもイッパイつけます。

3. 盛夏から初秋にかけて、土壌の中ではマタマタ無機チッ素が減っていきまして、思うようにチッ素にありつけなくなった植物は「はて、寒い冬がくるな。」と勘づきます。冬がきて寒くなれば枯れたり休眠したりするしかない植物は、生長をやめて花芽をつくりはじめて子孫をのこす生殖生長へとシフトチェンジするんだそうです。


この流れは、ほっっっとんどの植物に共通してるようで、あとは「その植物の種類によって開花しやすい条件などがそれぞれプラスされるよ」ってことになってくだけです。モノごとをイメージで覚えるほうがラクなヒトは、季節をアタマに思い浮かべながら植物を管理してあげると迷ったときに答えを見つけやすいのかもしれません。