2010年12月2日木曜日

「肥料」or「活力剤」チガイはナニ?

昨日の有機チッ素と無機チッ素のおハナシのながれから、本日は「肥料」と「活力剤」のチガイは何かな? をカンタンに・・・

まず「肥料」はなにか? という答えは、ほんとにイロイロあるんですが、農水省が肥料として保証してくれる条件のひとつが「植物がそだつのに必要な必須元素のうち酸素・水素・炭素を抜かした13種類 + ケイ酸などのどれか・または同時にいくつかを法律で決められた量以上ふくんでいるもの」というものです・・・
Wikiのほうが正しく説明してくれます。

さらに肥料を水と混ぜたとき「ほとんど溶けない/ナントカ溶ける/あっという間にではないけど溶けやすい/すぐ溶ける」と性質に違いがあって、それが「不溶性肥料/ク溶性肥料/可溶性肥料/水溶性肥料」ってやつです。




で、ハヤバヤと結論を申し上げますが「水耕やココなどの養液栽培で植物を育てるんなら肥料は無機肥料(=化学肥料)で、活力剤は有機がベスト・・・いまのところは」だと思います。

 土壌や培養土で植物を育てるんなら、何ヶ月もかけてユ〜ックリと溶ける不溶性やク溶性の肥料を施しても、

微生物のはたらきとか根っこからでる根酸でジワジワと溶けてきて植物は肥料にありつけますが、水耕栽培だとそれがほとんどムリなんです。培養液だと微生物のヘルプが期待できないので、根っこがすぐに吸える状態まで小さくなってる肥料を与えるわけです。




そもそも水耕栽培のはじまりが「土をつかわずに清潔に植物を育てたい! だってどこの国に行っても生野菜のサラダ食べたいし」というニーズだったわけですし、微生物や昆虫、堆肥、下肥など不衛生だと考えられていたものから植物を切り離して育てるのが水耕栽培の目的だったからです。


なので「肥料は、水に溶ける水溶性の化学肥料がベストだね!」ってわけです。そして1930年代に米国カリフォルニア大学で現在の水耕栽培技術ができてから、かれこれ80年ちかく経っちゃった今では「水耕栽培なのに、無機チッ素よりもアミノ酸の有機チッ素で育てたほうがたくさん穫れました。」というデータもあるみたいなんですが、チッ素源をアミノ酸100%にしちゃうと、ただでさえ高い水溶性肥料よりもお高めなプライスになっちゃうし、まだまだ一般的には実用段階ではないそうです。















で、一方の「活力剤」ってのは、分かりやすくいえば「必須元素などを含んでいるけど肥料として保証できる量がない」または「肥料を含んでなくても植物を活性化させて生長促進効果のあるもの」をいいます。

観葉植物だと「原液のまま与えるだけ」の低濃度の肥料をふくむアンプル剤が流通してますが、それも「活力剤」っていうカテゴリーに入ります。














で、ここ数年アンプル剤ではない後者の「活力剤」がでてきてますね。それは「植物がじぶんでガンバってつくるものを、あえて与えてあげて体力を温存させてゲンキにオイシく育つお手伝いをします」っていうカンジの活力剤で、肥料成分はほとんど入ってないので必ずベース肥料とセットで与えるタイプです。



「植物がじぶんでガンバってつくるもの」には、無機チッ素を吸ったあとにつくる「アミノ酸」とか「タンパク質」や、光合成でつくる「炭水化物」とか「有機酸」とか動物でいえば骨のかわりになる「繊維質」や、そのほかにも「ビタミン」「植物ホルモン」「酵素」などなどなどなど・・・
 なので後者の「活力剤」には、上記の有機質なものが多くて、ちょっと前までは分子が大きすぎて吸えないからムダといわれたようです。

が、けっこう吸えてるし吸わしたほうがゼンゼンいい!!という結果がいっぱい出てきました。







実際ワタシも有機活力剤をあげてて「ほほーっ、葉っぱがピーンとたって厚みがでてきたよー」「根っこがすごく張ってる!」と思ったことイッパイありましたし、なによりイチゴやお米なんかは、オイシく大きくなりました!

ただ、水耕栽培で有機活力剤の効果が実証されたのはいいんですが、「有機 or 無機」というバッサリしすぎたカテゴリーばかりが先走って駆けめぐり、欧米では「有機と無機、どっちがいいの?」と、プチ混乱が起きました!

で、今日いちばん言いたかった結論にもどりまして、やっぱり「水耕栽培では、肥料は無機の化学肥料、活力剤で有機成分のよさを補ってあげるってのがベストだと思います」です。

ちなみに化学肥料も有機肥料も入れすぎれば肥料過剰になりますし、化学肥料の無機原料は石油由来のものもありますが、じつは天然の鉱石を砕いたり溶かしたりしてつくられたものが多いです。そして水耕でつかわれる水溶性の肥料は精製度が高めなので値段も高いですが、重金属などの不純物を含みにくいんだそうです。ちなみに土壌ではアルミなどの軽金属があっても植物は吸わないように自分で防御できるし、重金属があると植物は吸ってしまいますが、微生物がゲンキな土壌ならば浄化作用でじょじょに無害化されたりします。

ところで「有機活力剤」って「根っこ用/生長用/開花用/肥料ぬき用」に別れていることが多いです。

次回は、このチガイについて・・・












ちなみに今日の写真は、「あいかわらずアブラムシとかが花にいっぱいでていて、バラのツボミなんかアブラムシのだす糖分でベットベトになっちゃってるけど、植物じたいがゲンキなら、ちょっとムシが出ても大きな花がつくからヘッチャラ。」と自分に言い聞かせているものです。